福山でスタッドレスは必要?判断基準と交換時期|福山市の大目商店
「福山はほとんど雪が降らないんだから、スタッドレスなんて要らないでしょう?」——毎年この時期、店頭で必ず聞かれる質問です。正直にお答えすると、乗り方によって答えは変わります。全員に必要とは申しません。ただ、判断の材料を「雪が降るかどうか」で考えているなら、その前提から見直したほうがいいかもしれません。今回は必要な方・なくてもやっていける方の線引きと、交換するなら時期はいつがいいのかをお話しします。
判断の基準は雪ではなく気温
意外に思われるかもしれませんが、スタッドレスタイヤの必要性を考えるうえで重要なのは積雪量ではなく気温です。
夏タイヤのゴムは、気温が下がると硬くなります。硬くなればそれだけ路面に密着しにくくなり、グリップが落ちます。夏タイヤと冬タイヤの性能が逆転するのは気温7℃前後とされており、これは雪が降っているかどうかとは関係ありません。乾いた路面でも起きていることです。
では福山の冬はどうでしょうか。気象庁の平年値(1991〜2020年)から、福山の平均最低気温を見てみます。
🌡 福山の平均最低気温(平年値)
1月の平均最低気温は0.0℃です。「平均で」0℃ということは、朝方に氷点下まで下がる日が珍しくないということです。12月から2月にかけて、朝の気温が7℃を下回る日は福山でもごく当たり前にあります。
つまり「雪が降らないから夏タイヤで問題ない」という理解は、雪の話としては正しいけれど、気温の話としては成り立っていないということになります。
JAFが行った制動距離のテストでは、時速40kmから急ブレーキをかけたところ、圧雪路・氷盤路でノーマルタイヤはスタッドレスタイヤの約1.7倍の距離を走ってから停止しました。時速40kmという速度でこの差です。市街地の速度域でも十分に起こりうる話です。
福山市内で凍りやすい場所
「福山市内なら凍結はしない」とお考えの方もいらっしゃいますが、路面の凍結は気温が7℃以下に下がる頃から起こり始めるとされています。しかも凍結は場所によってかなり偏ります。
橋の上
福山は芦田川をはじめ橋の多い街です。橋は路面の下が空気にさらされているため、周囲の道路より冷えやすく、手前は乾いていたのに橋の上だけ凍っているという状況が起こります。沿岸部や島方面へ渡る橋も同様です。
日陰になる場所・トンネルの出入口
建物や山の影になって一日中日が当たらない区間は、いったん凍ると日中も溶けません。トンネルの出口付近も風の通り方で凍結しやすい場所です。
北部の山沿い
神辺町や新市町から北側、県北方向へ向かう道は、市街地より気温が低くなります。同じ福山市内でも、沿岸部と山沿いでは冬の路面状況が別物と考えてください。
路面がうっすら濡れているように見えるだけで、実は薄い氷が張っている状態をブラックアイスバーンと呼びます。見た目で判別がつかないため、ブレーキを踏んだ瞬間に初めてわかります。朝晩に橋や日陰を通る方は、頭に入れておいてください。
必要な人・なくてもやっていける人
ここは正直にお伝えします。福山にお住まいの全員にスタッドレスが必要だとは思いません。ただ、次のような方は用意しておいたほうが安心です。
用意しておきたい方
- 冬に県北・山陰・中国山地方面へ出かける
- スキーやスノーボードに行く
- 通勤で山沿いや橋を毎日通る
- 早朝に家を出る(出勤・通学の送り)
- 仕事で車を使い、天候で休めない
- お子さんや高齢のご家族を乗せる
- 雪の予報でも出勤しなければならない
なくてもやっていける方
- 行動範囲が市街地・沿岸部に限られる
- 凍結しそうな朝は運転を控えられる
- 雪の日は公共交通に切り替えられる
- 年間の走行距離がごく短い
- 日中しか運転しない
右側に当てはまる方が無理に購入する必要はないと考えています。ただしその場合は、「凍結しそうな朝は乗らない」という判断を実際に実行できることが条件です。ここが守れないなら、左側と同じ扱いで考えたほうがいいでしょう。
高速道路の規制は2種類ある
ここは誤解されている方が多い部分です。冬の高速道路でかかる規制には2種類あり、スタッドレスを履いていれば必ず通れるというわけではありません。
冬用タイヤ規制スタッドレスでOK
冬用タイヤ(スタッドレス・スノータイヤ)またはタイヤチェーンなどのすべり止め装置を装着していない車は通行できません。一般的に「冬用タイヤ規制」と呼ばれるのはこちらで、スタッドレスを履いていれば通行できます。チェーン規制スタッドレスでも通れない
大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が出るような異例の大雪時に実施されます。全輪が冬用タイヤであってもチェーンを装着しないと通行できません。金属製のほか、ウレタン・ゴム・樹脂製、布製カバータイプのチェーンが認められています。注意していただきたいのは、スプレー式のチェーン(スプレーチェーン)は認められていないことです。持っていても通行できませんので、チェーン規制への備えとしては意味がありません。
冬に遠出の予定がある方は、スタッドレスとあわせてチェーンを1セット積んでおくと、規制に引っかかって足止めされる事態を避けられます。
オールシーズンタイヤという選択肢
「履き替えも保管場所も面倒」という方から、オールシーズンタイヤについて聞かれることが増えました。夏タイヤと冬タイヤの中間的な性格を持つタイヤです。
| 項目 | オールシーズンタイヤ |
|---|---|
| 履き替え | 不要。年間通して使える |
| 保管場所 | 不要 |
| 軽い降雪 | 対応できる |
| 凍結路面 | スタッドレスには及ばない |
| 本格的な雪道 | 想定されていない |
| チェーン規制 | チェーンが必要(スタッドレスと同じ) |
高速道路を管理するNEXCO西日本では、オールシーズンタイヤを「ちらつく程度の降雪」での使用を想定したものと説明しており、大雪に備える場合はスノーフレークマーク(雪の結晶のような国際表記)が表示されたタイヤを全輪に装着するよう案内しています。
結論としては、市街地中心で、年に数回ある雪のちらつき程度に備えたい方には合理的な選択肢です。逆に、凍結路面を走る可能性がある方やスキーに行かれる方には、スタッドレスをおすすめします。アイス性能ははっきり差があります。
去年のスタッドレス、まだ使えますか
これも毎年いただくご質問です。判断のポイントは2つあります。
① プラットホームが出ていないか
スタッドレスタイヤの溝の中には「プラットホーム」という盛り上がりがあり、新品時の溝の深さが50%まで減ると現れます。これが出たら、メーカーは冬用タイヤとしての使用をやめるよう案内しています。溝が半分になると雪や氷の上での性能が大きく落ちるためです。
よく混同されるのが「スリップサイン」です。こちらは残り溝1.6mmで現れる法律上の使用限度で、夏タイヤの基準です。スリップサインが出ていないからといって、スタッドレスとして使えるわけではありません。見るべきはプラットホームです。
② 使用年数
ゴムは時間が経つほど劣化します。タイヤメーカーのトーヨータイヤは、夏タイヤ・冬タイヤを問わず使用から5年経過したら販売店での点検を受けること、製造から10年経ったら交換を検討することを案内しています。住友ゴムも「5年も10年も同じ性能を維持できるかといえば微妙」としています。
溝が残っていても、ゴムが硬くなっていれば本来の性能は出ません。これは素人目には判断が難しい部分ですので、気になる場合は見せてください。溝の残り具合、製造年週、ゴムの状態をその場で確認いたします。
交換するなら11月中がおすすめの理由
理由は2つあります。
1つは気温です。福山の12月の平均最低気温は2.1℃。つまり12月に入れば、朝は7℃を下回っている日がほとんどです。「雪が降ってから」では間に合いません。履き替えの基準を雪ではなく気温に置くなら、11月中に済ませておくのが理にかなっています。
もう1つは混み合うからです。雪の予報が出た直後は、どこの店も一斉に駆け込みが集中します。当日中に作業できないこともありますし、タイヤの在庫も動きます。余裕のある時期に済ませておいたほうが、確実で待ち時間も短くて済みます。
福山の12月〜2月は、その条件をほぼ毎朝満たしています
この冬までに確認しておきたいこと
- 冬に県北・山陰方面へ出かける予定があるか
- 毎日の通勤路に橋や日陰の区間があるか
- 手持ちのスタッドレスのプラットホームが出ていないか
- そのスタッドレスは使用何年目か(5年以上なら点検を)
- タイヤの空気圧を確認したか(気温が下がると自然に低下します)
- 遠出するならチェーンを積んでいるか
大目商店の各サービスステーションでは、タイヤの点検・交換を承っています。「買い替えが必要かどうかだけ見てほしい」というご相談でも構いません。溝の残りと製造年を確認して、今シーズン使えるかどうかを正直にお伝えします。使えるものを無理に買い替えていただく必要はありません。
※気温データは気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年、福山観測所)です。制動距離はJAFのユーザーテストによるもので、路面状況・速度・車種により結果は異なります。高速道路の規制内容は実施時の発表に従ってください。
タイヤの点検・交換のご相談は大目商店へお気軽にどうぞ。
赤坂SS:084-951-2334
山手SS:084-951-7666
曙東SS:084-953-5577
よくある質問
- Q. 前輪だけスタッドレスにしてもいいですか?
- A. おすすめできません。前後でグリップ力が違う状態になり、カーブやブレーキ時に挙動が不安定になります。後輪だけが滑り出すと立て直すのが難しく、かえって危険です。4本すべて同じタイヤにしてください。
- Q. 4WDならスタッドレスは要りませんか?
- A. 4WDは「発進しやすい」だけで、「止まりやすい」わけではありません。ブレーキの効きはタイヤが決めます。4WDで夏タイヤのまま凍結路に出るほうが、むしろスピードが出ていて危険な場合もあります。
- Q. スタッドレスのまま夏も走ってはいけませんか?
- A. 法律上の問題はありませんが、おすすめしません。スタッドレスは柔らかいゴムでできているため、気温が高い時期は摩耗が早く進み、ブレーキ性能も夏タイヤに劣ります。結果的に不経済です。
- Q. 交換にはどのくらい時間がかかりますか?
- A. ホイール付きのタイヤに履き替える場合、通常は30分前後です。ただし混み合う時期は待ち時間が発生します。お電話いただければ、その日の状況をお伝えできます。
- Q. 保管場所がありません。どうすればいいですか?
- A. そうしたご相談は多くいただきます。保管スペースの確保が難しい場合は、オールシーズンタイヤを検討されるのも一つの方法です。お使いの車や行動範囲をお聞かせいただければ、向き不向きをご一緒に考えます。